「君の話は、結局何が言いたいの?と、上司に言われてしまった…」
「会議で発言したいのに、うまく考えがまとまらず、いつも聞き役で終わってしまう…」
「自分の提案に自信はあるのに、相手の心を動かせず、悔しい思いをしている…」
もしあなたが、このような「伝える力」の限界を感じ、ビジネスの場でチャンスを逃しているのなら、この記事で紹介する一冊の本が、あなたの言葉に「説得力」と「影響力」を与える、最強の武器となるでしょう。
ソフトバンク孫正義氏のプレゼン資料作成にも携わった、プレゼンの神様・伊藤羊一氏による大ベストセラー『1分で話せ』。
この本は、単に話を短くまとめるための、小手先のテクニック集ではありません。
それは、「人を動かすのは、情報の網羅性ではなく、聞き手の頭と心を揺さぶる、論理と情熱の凝縮である」という思想に基づき、どんな相手でも「1分」で納得させ、行動へと駆り立てるための、極めて実践的な思考のフレームワークを説いた、ビジネスパーソン必読の書です。
この記事では、『1分で話せ』の核心的な教えを、具体的な例や実践方法と共に、詳細に解説していきます。
あなたのプレゼンは「全編上映の映画」?それとも「心を掴む予告編」?
本書を理解するために、まず「人を動かす」プレゼンの本質を知る必要があります。
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普通のプレゼン(全編上映の映画)
自分が知っている情報を、最初から最後まで、全て伝えようとするプレゼン。情報量は多いが、聞き手は途中で飽きてしまい、結局何が重要だったのか印象に残らない。 -
本書が教える「1分プレゼン」(心を掴む予告編)
映画の中で最も面白く、重要なシーンだけを切り取り、聞き手の「もっと知りたい!」「面白そう!」という感情を最大限に引き出すプレゼン。目的は、全てを理解させることではなく、相手の心を動かし、「GOサイン」を出させることにある。
『1分で話せ』とは、この「最強の予告編」を、誰でも作れるようにするための、具体的な設計図なのです。
【実践編】「1分で人を動かす」ための「3つのステップ」
では、具体的に「最強の予告編」は、どうすれば作れるのでしょうか?伊藤羊一氏が提唱する、3つの重要なステップを見ていきましょう。
ステップ1:左脳を説得する「ロジカルな骨格」
まず、聞き手の「左脳(論理)」を納得させるための、揺るぎない土台を構築します。そのためのフレームワークが「ピラミッドストラクチャー」です。
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ジャッカル的な報告(時系列で話す):「先日のA社との打ち合わせですが、まず担当の〇〇様が出てこられて、先方の課題についてヒアリングしたところ、BやCといった問題点が挙がりまして、それで…」(結論が見えない)
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キリン的な報告(ピラミッドで話す):
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【結論】:「A社には、プランBを提案すべきです」
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【根拠】:「理由は3つあります。第一にコスト面、第二に納期、第三に将来性です」
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【たとえば】:「たとえば、コスト面では、既存のプランAと比較して、年間で約20%の削減が見込めます。これは…」
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なぜこれが効くのか?
聞き手は、最初に「話の地図(結論)」を与えられることで、安心して話を聞くことができます。そして、「3つの根拠」という構造が、話の全体像を明確にし、理解を助けます。
取り組み方: 次に何かを報告する前に、紙とペンを用意し、「①結論は何か?」「②その根拠は3つに絞ると何か?」「③それぞれを補強する具体的な例は何か?」と、このピラミッド構造に沿って、話す内容を書き出してみましょう。これだけで、あなたの話の明快さは劇的に向上します。
ステップ2:右脳を揺さぶる「情熱の肉付け」
論理的な骨格だけでは、人は動きません。聞き手の「右脳(感情)」を揺さぶり、「この人を応援したい!」「この提案に乗っかりたい!」と思わせる「情熱」が必要です。
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ジャッカル的なプレゼン(他人事):「データによれば、このプランが最適だと考えられます」(事実の羅列)
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キリン的なプレゼン(自分事):「このプランを提案します。なぜなら、先週A社の現場を訪れた時、担当者の方が本当に困っている姿を目の当たりにし、私は、何としてでもこの状況を変えたいと、心から思ったからです!」
なぜこれが効くのか?
人は、正しい理論よりも、熱い想いに心を動かされます。あなたの個人的な体験や、その提案にかける強い想いを、自分の言葉で語ることで、プレゼンに「魂」が宿ります。
取り組み方: ステップ1で作ったロジカルな骨格に、「そもそも、なぜ自分はこの提案がしたいんだっけ?」と自問自答してみましょう。その根源にある、あなたの原体験や問題意識、未来への希望を、プレゼンの冒頭や結論で、熱意を込めて語ってみてください。
ステップ3:「捨てる勇気」を持つ徹底的な準備
「1分で話す」とは、「1分しか考えない」ことではありません。むしろ逆です。
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ジャッカル的な準備:話したいことを、行き当たりばったりで話す。
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キリン的な準備:まず、伝えたいことを10分、20分ぶん書き出し、そこから「本当に重要なことは何か?」を徹底的に考え抜き、不要な部分を大胆に削ぎ落として、1分のダイヤモンドに磨き上げる。
なぜ「捨てる」ことが重要なのか?
情報が多すぎると、本当に伝えたいことの輪郭がぼやけてしまいます。聞き手に最も伝えたい「一つの結論」と「それを支える力強い根拠」だけを残す勇気が、話の説得力を最大化します。
取り組み方: プレゼンの準備をする際、まずタイマーをセットせずに、伝えたいことを全て書き出します。次に、その中から「もし30秒しか時間がないとしたら、何を伝えるか?」という視点で、最も重要な要素だけを抜き出し、ピラミッドを再構築します。この「削ぎ落とす」作業こそが、思考を鋭くする最高のトレーニングです。
まとめ:1分で話す技術は相手の「未来」を動かすこと
『1分で話せ』が教えてくれるのは、単なる時間短縮術ではありません。
それは、聞き手の貴重な時間を尊重し、その短い時間の中で、相手の頭を整理し、心を動かし、より良い未来へと導くための、知的で誠実なコミュニケーション技術なのです。
私は以前、会議でプレゼンをしている時に社長から「結論なに?」と何度もダメ出しを食らいました。聞き手には何も伝わらないプレゼンだったのでしょう。その繰り返しの中で行き着いた答えがこの本の中にありました。
論理の骨格を作り、情熱の肉をつけ、徹底的に磨き上げる。このプロセスを通じて、あなたの言葉は、単なる情報から、人を動かす「力」へと変わります。
今日から、あなたも「1分」という時間と真剣に向き合ってみませんか?その凝縮された1分が、あなたのビジネス、そしてあなたの人生を、新たなステージへと押し上げてくれるはずです。
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