「会議で発言するのは、いつも同じメンバーだけ…」
「部下がミスを報告してくれず、問題が手遅れになってから発覚する…」
「新しいアイデアを提案しても、『前例がないから』と誰も乗ってこない…」
もし、あなたのチームにこんな「停滞感」が漂っているなら、その原因はメンバーの意欲の低さではなく、チームの「空気」にあるのかもしれません。
今回ご紹介する『心理的安全性のつくりかた』は、Googleが「生産性の高いチームの唯一の共通点」として発見し、一躍注目を浴びた“心理的安全性”について、日本で初めて体系的かつ実践的に解説した一冊です。
この記事では、本書の核心である「心理的安全性」の本質と、それを育むための具体的な行動を、あなたのチームで明日から使えるように分かりやすく解説します。
勘違いしていませんか?「心理的安全性」は「ぬるま湯」ではない
まず、最も重要な誤解を解いておきましょう。
心理的安全性とは、単に「仲が良い」「居心地が良い」「誰も傷つけない」といったぬるま湯のような状態(コンフォートゾーン)のことではありません。
本書が定義する心理的安全性とは、「チームの中で、対人関係のリスクをとっても大丈夫だ、というメンバーに共有された信念」のこと。
具体的には、
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こんな初歩的な質問をしたら、バカだと思われないか?
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反対意見を言ったら、和を乱すやつだと思われないか?
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新しい挑戦をして失敗したら、無能だと責められないか?
といった不安がなく、誰もが安心して発言し、挑戦できる状態を指します。
それは、高い基準で成果を求める「成長ゾーン(ラーニングゾーン)」へチームを導くための、必要不可欠な「土壌」なのです。
チームの「空気」を創る4つの因子
では、どうすれば心理的安全性という「土壌」を育むことができるのでしょうか。本書は、そのために必要な要素を4つの因子に分解しています。あなたのチームに足りないのはどれか、チェックしてみてください。
1. 話しやすさ(Psychological Safety)
「こんなことを言ったら、どう思われるだろう…」という不安なく、誰もが気兼ねなく発言できる状態。意見、質問、懸念などを安心して表明できること。
2. 助け合い(Help-seeking & Help-giving)
困難な状況や、自分の弱み、失敗を素直に認め、チームに助けを求めることができる状態。そして、助けを求められたメンバーが、快くそれに応じる文化があること。
3. 挑戦(Challenge)
失敗を恐れず、新しいアイデアや方法を試すことができる状態。たとえ失敗しても、それが非難されるのではなく、「学びの機会」として捉えられること。
4. 新奇歓迎(Inclusion & Diversity)
自分と違う意見や、マイノリティの視点、新しいメンバーの加入などが、脅威ではなく「歓迎すべきもの」として受け入れられる状態。
心理的安全性を高めるリーダーの具体的な「行動」
心理的安全性は、リーダーの一貫した小さな「行動(シグナル)」によって育まれます。本書で紹介されている、明日からできる具体的なアクションを見ていきましょう。
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「話しやすさ」を高める行動
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NG例: 部下の意見に、すぐ「でも」「しかし」と反論する。
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OK例: まず「なるほど、面白い視点だね。もう少し詳しく教えてくれる?」と、好奇心を示す。リーダーが誰よりも真剣な聞き役になる。
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「助け合い」を高める行動
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NG例: 常に完璧な姿を見せようとし、弱みを見せない。
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OK例: リーダー自らが「ごめん、これは分からないから助けてほしい」「この部分は苦手なんだ」と、自己開示する。リーダーの弱さが、メンバーが助けを求める許可証になる。
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「挑戦」を高める行動
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NG例: ミスが起きた時、「誰のせいだ?」と犯人探しをする。
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OK例: 「この失敗から、何を学べるだろう?」と、未来志向の質問をする。失敗を「データ」として捉え、次の成功の糧にする姿勢を見せる。
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「新奇歓迎」を高める行動
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NG例: 自分の経験則に合わない意見を、「現実的じゃない」と一蹴する。
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OK例: 少数意見が出た際に、「あえて反対の意見を言ってくれてありがとう。その視点はなかったよ」と、感謝と尊敬を伝える。
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どんな人におすすめ?
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チームの停滞感や閉塞感を打破したい、全てのマネージャー
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イノベーションや新しいアイデアが生まれる組織を作りたいリーダー
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部下や後輩の育成に悩んでいる人
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会議で沈黙が続く、形骸化したミーティングにうんざりしている人
まとめ
『心理的安全性のつくりかた』が教えてくれるのは、強いチームとは、強い個人の集まりではなく、健全な関係性の中から生まれるということです。
リーダーの役割は、メンバー一人ひとりを強くすること以上に、彼らが安心して自分の力を発揮できる「安全な場」を創り、維持することにあります。
まずは、明日からのチームミーティングで、部下の発言に対して「なるほど」と深く頷き、好奇心を示すことから始めてみてはいかがでしょうか。その小さな行動が、チームの空気を変える確かな一歩となるはずです。
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