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株式投資の勉強を始めると、誰もが最初に出会う、最も有名で、最も“魅力的”な指標があります。それが【PER】(株価収益率)です。
多くの投資入門書には、こう書かれています。「PERが低いほど、株価は“割安”である」と。
この言葉を信じ、「PER10倍以下の銘柄リスト」を必死で探し、そこに資産を投じようとしている…そんな【低PERハンター】になってはいないでしょうか?
しかしもし、その「割安」という甘い響きが、あなたの資産を溶かす、恐ろしい【罠】だとしたら…? この記事は、あなたが「PER=割安」という思考停止から抜け出し、その数値の裏に隠された市場の“本音”を読み解くための、上級者への第一歩です。
第1章:PERとは何か?(1分間でおさらい)
まずPERの定義をおさらいしましょう。
【PER】(Price Earnings Ratio)とは、以下の計算式で求められます。
株価 ÷ 一株当たり利益(EPS)
これは平たく言えば、『その会社が1年間で稼ぎ出す利益の、何年分で、現在の株価(会社価値)を買えるか』を示しています。
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A社:株価1000円 ÷ 利益100円 = PER 10倍
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B社:株価3000円 ÷ 利益100円 = PER 30倍
多くの人は、A社を「B社の1/3の値段で買える、お買い得な株だ!」と判断してしまいます。しかし、市場(マーケット)は、本当にそんなに単純なのでしょうか?
第2章:初心者がハマる【低PERの罠】3つの正体
市場は、あなたが思うより、ずっと賢明です。
株価が「安い」のには、必ず「安いなりの理由」があります。低PERというだけで飛びついてはいけない、代表的な3つの罠を見ていきましょう。
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【罠①】成長が止まった「オールド企業」
市場が、その会社の未来に『一切の成長を期待していない』場合、PERは当然のように低くなります。
株価とは、その会社の「現在の価値」+「未来の成長期待」で決まります。低PERとは、市場から「この会社には、もう未来の成長期待はありません」と烙印を押された状態かもしれないのです。 -
【罠②】景気のピークで買う「景気敏感(シクリカル)株」
鉄鋼、化学、海運といった業界は、景気の波によって業績が激しく変動します。
景気が【絶好調のピーク】の時、彼らの利益は最大化します。すると、分母である「利益(EPS)」が異常に大きくなり、PERは驚くほど低く見えます。
しかしそれは『今が利益の天井である』という最悪のシグナルであり、そこから先は、不況と共に利益が激減していく【暴落の入り口】なのです。 -
【罠③】会計上の“幻の利益”
その会社の利益は、本当に「本業」で稼いだものでしょうか?
たまたま「土地や建物を売却した(特別利益)」、「子会社を売った」といった、今年一度きりの“幻の利益”でEPSが膨れ上がり、PERが低く見えているだけかもしれません。
第3章:なぜ「高PER」の株が買われ続けるのか?
逆に、AmazonやNVIDIAのようなハイテク企業のPERが、50倍、100倍を超えるのはなぜでしょうか? それは、『彼らの【未来の成長】があまりにも強烈だから』です。
市場が見ているのは、去年の利益(EPS)ではありません。3年後、5年後のEPSです。 もし利益が毎年2倍に成長するなら、今のPERが100倍でも、2年後には25倍、3年後には12.5倍になっている計算です。
市場は、その爆発的な未来の成長を「前借り」して、現在の株価に織り込んでいるのです。
『高PERとは、“未来の成長への期待料”』なのです。
第4章:学園長が「低PERハンター」を卒業した日
この大学の学園長である私も、投資を始めたての頃は、もちろん「低PERハンター」でした。「PER10倍以下」というスクリーニング条件(株を検索する際の条件設定)だけで銘柄を選び、その会社が何をしているのか、将来性はどうなのか、一切調べずに投資していました。
その結果、どうなったか?
私が買った「低PER株」の株価は、上がるどころか、下がり続けました。なぜなら、それらはまさに罠①の、未来の成長が全く期待されていない「オールド企業」だったからです。 私は、安い“ゴミ”を、安いという理由だけで買い集めていたに過ぎません。
この手痛い失敗から、私は学びました。
『PERとは、「割安度」を測る指標ではなく、「市場の期待度」を測る指標である』と。 PERが低いということは、「市場から期待されていない」という可能性もあり、PERが高いということは、「市場から過剰に期待されている」ということです。
私が本当に探すべきは、その「期待」と「実力」に、良い意味での“ズレ”がある銘柄なのだと。
まとめ:あなたは“市場の期待を読む鑑定士”たれ
PERは、それ単体では何の意味も持ちません。
「PER10倍」という数字は、ただの「結果」です。
なぜ市場はその会社を「10倍」と評価しているのか?
それは、成長が見込めないからか? それとも、何かの一時的な要因か? あるいは、市場がまだ気づいていない、隠れた価値が放置されているのか?
今日からあなたは、ただ数字を眺める「低PERハンター」ではなく、本当の価値を読むプロ投資家としてのPERハンターなのです。
【次のステップへ】 おめでとうございます! これであなたは賢明なる投資家の視点を手に入れました。
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