「日々の株価の上下に、つい一喜一憂してしまう」
「短期的なトレードではなく、腰を据えて、心から応援できる企業に長期投資したい」
もしあなたが、そんな風に感じているのなら、この記事で紹介する一冊の本が、そのための揺るぎない「判断のモノサシ」を授けてくれるでしょう。
数多くの個人投資家をサポートしてきた足立武志氏による『株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書』。
この本は、チャートの形を読んで短期的な利益を狙うテクニカル分析の本ではありません。
それは、「株価とは、長期的には必ずその企業の『本質的な価値』に収束する」という大原則に基づき、その本質的な価値、すなわち「良い会社を、割安な価格で買う」ための具体的な方法論を、体系的に解説した、王道的な投資の教科書です。
この記事では、本書で語られる核心的な教えを、客観的な視点から要約して解説します。
テクニカル分析が「人気投票」なら、ファンダメンタル分析は「健康診断」である
本書が提唱するのは、日々の株価という「人気」に惑わされず、投資対象の本質を見抜くためのアプローチです。
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テクニカル分析:今の市場で、どの銘柄が「人気」で、注目を集めているかを分析する「人気投票」。人々の期待や不安という、感情の波を捉えようとする。
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ファンダメンタル分析:その企業の「収益力」「安全性」「成長性」といった、事業の健康状態を数字で評価する「健康診断」。企業の揺るぎない実力そのものを評価する。
本書は、この「健康診断」を自分自身で行い、本当に強くて良い会社を見つけ出し、その会社のオーナーになるという視点で投資を行うための、実践的なマニュアルなのです。
「良い会社を安く買う」ための「3つのステップ」
では、この「健康診断」は、どのように行うのでしょうか?本書で語られる、3つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:企業の「稼ぐ力(収益性)」を測れ
その会社は、効率よく利益を生み出せているか?
解説:良い会社とは、第一に「稼ぐ力」が強い会社です。少ない元手で、いかに効率よく大きな利益を生み出しているか。その「資本効率」を見抜くことが、全ての始まりとなります。
具体的な手法:
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ROE(自己資本利益率):株主が出したお金(自己資本)を使って、会社がどれだけ上手に利益を上げたかを示す最重要指標。本書では「最低でも10%以上」が一つの目安とされる。
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売上高営業利益率:本業でどれだけ儲かっているかを示す指標。この比率が高いほど、競争力が高く、利益の質が良いことを意味する。
ポイント:これらの指標が高い会社は、他社にはない強み(ブランド力、技術力など)を持ち、持続的に成長する可能性を秘めた「優等生」であると判断できます。
ステップ2:企業の「お値打ち度(割安性)」を確かめよ
その優等生は、バーゲンセールになっていないか?
解説:どれだけ良い会社であっても、高すぎる価格で買ってしまっては、良い投資にはなりません。企業の利益や資産に対して、現在の株価が「割安」なのか「割高」なのかを判断する「値札」のチェックが不可欠です。
具体的な手法:
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PER(株価収益率):会社の利益に対して、株価が何倍まで買われているかを示す指標。数値が低いほど、株価は利益に対して割安とされる。
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PBR(株価純資産倍率):会社の純資産に対して、株価が何倍まで買われているかを示す指標。特に、会社が解散した時の価値(解散価値)である1倍が、割安かどうかの大きな目安となる。
ポイント:良い会社(高ROE)が、何らかの理由で市場から見過ごされ、割安(低PER・低PBR)で放置されている瞬間こそが、ファンダメンタル投資における最大のチャンスです。
ステップ3:企業の「未来の物語(成長性)」を読め
その会社の「稼ぐ力」は、これからも続いていくか?
解説:数字だけの分析には限界があります。その会社が、なぜ高い収益性を維持できるのか、その背景にある「ビジネスモデル」や「競争優位性」を理解することが重要です。その企業の製品やサービスが、今後も社会に必要とされ続けるのか、その「未来の物語」を読み解きます。
具体的な手法:
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ビジネスモデルの理解:誰に、何を、どのように提供して儲けているのかを、自分の言葉で説明できるようにする。
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競争優位性の確認:他社が簡単に真似できない強み(独自の技術、強力なブランド、高いシェアなど)があるかを確認する。
ポイント:これは、単なる投資家ではなく、その企業の「事業パートナー」になるためのプロセスです。自分がその会社のオーナーとして、未来を信じられるかどうかを問いかけます。
【最重要】注意点:これは「短期的な値上がり」を保証するものではない
本書が教えるファンダメンタル分析は、長期的な資産形成の王道ですが、万能ではありません。
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時間がかかる:企業の価値が株価に反映されるまでには、数ヶ月から数年単位の時間がかかることがあります。短期的な成果を求める手法ではありません。
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市場の感情に左右される:短期的には、業績と無関係に、市場全体の雰囲気で株価が上下することは日常茶飯事です。
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成長の罠:どんなに良い会社でも、その成長が永遠に続くとは限りません。定期的に「健康診断」を続け、事業環境の変化をチェックする必要があります。
まとめ:ファンダメンタル投資とは、企業の「オーナー」になることである
『ファンダメンタル投資の教科書』が私たちに教えてくれるのは、株式投資が、マネーゲームではなく、優れた企業の成長に参加し、その果実を分かち合う「事業参加」であるという、本質的な視点です。
それは、日々の株価に振り回される投機家ではなく、企業の未来を信じ、どっしりと構える「オーナー」になるための技術であり、そのための具体的な手順を、初心者にも分かりやすく示してくれる、まさに「教科書」と呼ぶにふさわしい一冊と言えるでしょう。
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