【要約】移動平均線の真実|長尾義弘が教える「大循環」で相場の季節を読む技術

ビジネス書籍教材学部

「ゴールデンクロスで買ったのに、すぐに下がってしまった…」
「移動平均線はたくさん表示しているけど、結局どの線を信じればいいのか分からない…」

もしあなたが、そんな移動平均線の「ダマシ」に翻弄され続けているのなら、この記事で紹介する一冊の本が、線の「交差」という一点だけを見るのではなく、相場の「大きな季節の移ろい」そのものを捉えるための、全く新しい「暦」を授けてくれるでしょう。

移動平均線分析の第一人者として知られる長尾義弘氏による『移動平均線の真実』。

この本は、ゴールデンクロスやデッドクロスといった、短期的な売買サインを追いかけるための手法を解説した本ではありません。

それは、「相場とは、短期・中期・長期の移動平均線の並び順によって、明確な『季節(ステージ)』が存在する、一つの大きな生命サイクルである」という思想に基づき、そのサイクルを読み解き、今がどの季節なのかを判断するための、極めて体系的な分析哲学書です。

この記事では、本書で語られる核心的な教えを、客観的な視点から要約して解説します。

移動平均線分析が「天気予報」なら大循環分析は「四季の移ろい」

本書が提唱するのは、単一の売買サインに一喜一憂する、短期的な視点からの脱却です。

  • 一般的な移動平均線分析:ゴールデンクロスやデッドクロスといった、明日の天気を予測しようとする「天気予報」。短期的な変化を捉えやすいが、より大きな季節のうねりを見失いがち。

  • 長尾式「大循環分析」:春→夏→秋→冬という、相場の「四季の移ろい」そのものを解読する技術。今が力強い成長の「夏」なのか、厳しい冬ごもりの「冬」なのか、その大きな環境を理解することで、取るべき行動が自ずと決まる。

本書は、この「四季」のリズムを読み解き、それぞれの季節に最も適した戦略を取るための、極めて大局的な相場観測術なのです。

「相場の四季」を読み解くための「3つの法則」

では、この壮大な相場の季節を、プロはどのように読み解くのでしょうか?本書で語られる、3つの法則を見ていきましょう。

法則1:相場の「季節(ステージ)」を読め

短期・中期・長期、3本の線の「並び順」が全てを語る

解説:長尾式分析の根幹をなすのが、この「大循環分析」です。3本の移動平均線(例:5日、20日、40日)の並び順を見るだけで、相場が今、全6ステージのどこにいるのか(=どの季節なのか)を、一目で判断します。

具体的な手法(6つのステージ)

  • 第1ステージ(春):安定上昇期。上から「短期・中期・長期」の順。最も安定して利益を上げやすい「買い」の季節。

  • 第2ステージ(初夏):上昇トレンドの最終局面。長期線が短期・中期線を上抜ける。勢いはあるが、終わりの始まり。

  • 第3ステージ(夏):下降相場への転換期。短期線が中期線を下抜ける(デッドクロス)。

  • 第4ステージ(秋):安定下降期。上から「長期・中期・短期」の順。最も安定して利益を上げやすい「売り」の季節。

  • 第5ステージ(初冬):下降トレンドの最終局面。長期線が短期・中期線を下抜ける。

  • 第6ステージ(冬):上昇相場への転換期。短期線が中期線を上抜ける(ゴールデンクロス)。

ポイント:これは、単なるクロスで判断するのではなく、3本の線の「位置関係」という構造で相場を捉えることで、「ダマシ」を大幅に減らし、トレンドの質を判断するための、最も重要な分析手法です。

法則2:流れの「中心(帯)」を見極めよ

中期線と長期線が作る「帯」が、相場の本流である

解説:大循環分析において、特に重要視されるのが、中期移動平均線と長期移動平均線が作り出す空間、通称「帯(おび)」です。この「帯」は、トレンドの勢いが強い時には強力な支持帯(あるいは抵抗帯)として機能し、相場の中心的な流れを示します。

具体的な手法

  • 上昇トレンド時:株価が下落しても、この「帯」で反発することが多い。絶好の「押し目買い」のポイントとなる。

  • 下降トレンド時:株価が上昇しても、この「帯」で頭を抑えられることが多い。絶好の「戻り売り」のポイントとなる。

ポイント:これは、どこでエントリーし、どこで手仕舞うかを判断するための、具体的な「基準」となります。相場がこの本流からどれだけ離れているかを見ることで、冷静な判断が可能になります。

法則3:相場の「行き過ぎ(乖離)」を測れ

価格は、いずれ必ず移動平均線に帰ってくる

解説:株価が移動平均線、特に短期線から大きく離れる(乖離する)と、その「行き過ぎ」を修正しようとする力が働き、いずれは移動平均線の方向へ引き戻される、という性質を利用します。

具体的な手法

  • 上昇トレンドでの大きな上方乖離:短期的な過熱を示唆。新規の買いには慎重になり、一部利益確定を検討するサイン。

  • 下降トレンドでの大きな下方乖離:短期的な売られすぎを示唆。新規の売りには慎重になり、買い戻しを検討するサイン。

ポイント:これは、トレンドの最終局面や、短期的な反発・反落を捉えるための補助的なツールです。大循環のステージ分析と組み合わせることで、より精度の高いエントリーとエグジットが可能になります。

【最重要】注意点:これは「全ての相場」に効く魔法ではない

本書が教える大循環分析は非常に強力ですが、その特性を理解する必要があります。

  • トレンド相場で真価を発揮する:明確なトレンドが発生している相場では絶大な効果を発揮しますが、方向感のない「レンジ相場」では、ステージが頻繁に入れ替わり、機能しにくい場合があります。

  • 時間軸の選択が重要:デイトレードなら分足、スイングトレードなら日足、長期投資なら週足や月足というように、自分の投資スタイルに合った時間軸のチャートで分析することが不可欠です。

  • あくまで「環境認識」のツール:これは、今が戦うべき時なのか、待つべき時なのかを教えてくれる「環境認識」の技術です。この分析を土台に、他の指標や資金管理を組み合わせることが重要です。

まとめ:移動平均線分析とは相場の「構造」の読解

『移動平均線の真実』が私たちに教えてくれるのは、移動平均線を、単なる売買サインの発生器としてではなく、相場の大きな構造やサイクル、つまり「今の季節」を教えてくれる、羅針盤として捉える視点です。

それは、目先の小さな天気の変化に惑わされず、大きな季節のうねりに乗るための、賢明で力強い知恵なのです。本書は、そのための最も体系的で、信頼性の高い原則を示してくれる一冊と言えるでしょう。

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