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投資の勉強を始めると、誰もが必ず出会う言葉があります。それが【ドルコスト平均法】です。
「毎月、決まった金額を、決まった日に買い続けるだけ」
「高値掴みのリスクを減らせる」
「感情に左右されずに投資ができる」
まるで投資初心者のために用意された“聖杯”であり、「これさえやっておけば安心だ」という、万能の魔法のように語られがちです。
しかし本当にそうでしょうか? もし、その「万能薬」が、特定の状況下では【一括投資】に負けるという不都合な真実や、そもそも多くの人が【致命的な誤解】をしているとしたら…?
この記事は、あなたが「ドルコスト平均法」という言葉の響きに思考停止するのをやめ、その本当のメリットと【知られざる限界】を冷静に理解するための、解体新書です。
第1章:なぜ【ドルコスト平均法】は“聖杯”と呼ばれるのか?
まずその基本とメリットを再確認しましょう。
ドルコスト平均法とは、『毎月1万円』というように、投資する【金額】を固定し、定期的に買い続ける手法です。
価格が高い時は「少なく」しか買えず、価格が安い時は「多く」買えるため、自動的に平均購入単価が平準化されます。これが、最大のメリットである【高値掴みのリスク分散】です。
そして、もう一つの強力なメリットが、【感情の排除】です。
投資の最大の敵は、暴落時の「恐怖」と、高騰時の「欲望」です。
「ああ、今が買い時かも…」「いや、まだ下がるかも…」。こうした感情的なブレこそが、凡人を敗北へと導きます。 ドルコスト平均法は、この感情を一切無視し、『決まった日に、機械的に買う』というルールで、あなたを本能から守ってくれるのです。
第2章:その“万能薬”の【知られざる限界】
しかし、この強力な手法にも、明確な「限界」が存在します。
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【限界①】右肩上がりの相場では、「一括投資」に負ける
これが最も重要な事実です。もし、相場が長期的に右肩上がり(例えばS&P500)であると信じるならば、『できるだけ早く、全額を市場に投じた方がリターンは高くなる』のは、当然の結論です。 ドルコスト平均法で投資タイミングを分散させることは、裏を返せば、将来の値上がり益を取り逃がす【機会損失】を自ら受け入れていることになるのです。歴史的なデータを見れば、多くの場合、「一括投資」の方がリターンは高くなりました。 -
【限界②】“暴落時にも買い続ける”という強靭なメンタルが前提
この手法の真価は、価格が下がった時にこそ発揮されます。なぜならそこで「いつもより多く」買えるからです。
しかし現実に暴落が来た時、多くの人はどうするでしょうか? 恐怖に駆られて積立を停止し、最悪の場合、売却してしまいます。 『ドルコスト平均法は、暴落時にこそ買い続けなければ、全く意味がない』のです。
第3章:ドルコスト平均法の【致命的な誤解】
多くの人が、「ドルコスト平均法を使えば、儲かる」と誤解しています。 これは、全くの間違いです。
ドルコスト平均法は、あくまで【買い方】のテクニックに過ぎません。
もし投資対象そのものが、将来にわたって価値が下がり続けるような“ゴミ”であった場合、どれだけ買い方を工夫しようが、あなたの資産は減り続けます。
『ドルコスト平均法は、投資対象が長期的に右肩上がりである』という大前提があって、初めて機能する手法なのです。
第4章:学園長が一括投資より積立を好む本当の理由
私も、もちろん「歴史的データでは、一括投資の方がリターンが高い」という事実は、嫌というほど知っています。
ではなぜ私も「積立投資(ドルコスト平均法)」を併用しているのか?
それは、私も【人間】であり、自分のメンタルが、歴史的データほど強くないことを自覚しているからです。
もし私が、退職金を全て一括投資した翌週に、リーマンショック級の大暴落が来たとします。その時「歴史的には大丈夫だ」と、果たして平然としていられるでしょうか? おそらく、無理でしょう。
私がドルコスト平均法を採用している最大の理由は、リターンを最大化するためではなく、『どんな最悪の市場が来ても、恐怖で市場から退場することなく、投資を“続ける”ため』の、私にとって最も合理的な【メンタル安定装置】なのです。
ちなみに局所的な暴落時に備えて、コアサテライト戦略のサテライト戦略枠として現金を手元に置いています。
近年で言えば、コロナ後に世界的な政策金利の上昇に伴って起こった株安時や、トランプ大統領の関税ショック時に、追加投資を行いました。
通常のドルコスト平均法での毎月の積立という心理的安定と共に、暴落時の攻めの投資を行うマインドがいかに大切かが、暴落では問われると考えています。
まとめ:あなたは“賢明なる投資継続者”たれ
ドルコスト平均法は、決して「万能の魔法」ではありません。
それはリターンを最大化する【攻撃】の武器ではなく、あなたのメンタルを守り、市場から退場させないための【防御】の盾なのです。
投資の世界で、本当に難しいこと。
それは最高のタイミングで売買することではありません。最悪の時代が来た時にも、ただ淡々と、市場に居続けることです。
今日からあなたは、魔法を信じる夢想家ではありません。 自らの弱さを知り、その弱さを補うための最強のツールを使いこなす、“賢明なる投資継続者”なのです。
