決算発表【またぎ】はギャンブルか?: 決算情報を先読みするためのKPI分析術

投資分析・短期トレード・基礎用語学科

「お金持ち養成大学」へようこそ。
株式投資において、最もスリリングで、最も残酷なイベント。それが、3ヶ月に一度の【決算発表】です。 発表の翌日、株価がプラス20%に急騰することもあれば、マイナス20%に暴落することもある。

この決算発表を、株を持ったまま迎えることを【決算またぎ】と呼びます。 多くの個人投資家にとって、これは「丁半博打」のようなギャンブルです。「良い数字が出るか、悪い数字が出るか」を、運に任せて祈るだけ。

しかしプロの投資家は祈りません。 彼らは、決算書が出るよりも遥か前に、別の数字【KPI(重要業績評価指標)】を分析し、決算の結果をある程度「先読み」しているのです。

この記事は、あなたが決算またぎというギャンブルから卒業し、プロと同じ視点で企業の成績を予測するための、KPI分析の入門講義です。

第1章:なぜ「好決算」なのに株価は下がるのか?

決算またぎがギャンブルになる最大の理由。それは、株価が決まるメカニズムの複雑さにあります。

『株価は、企業の【実績】ではなく、市場の【期待(コンセンサス)】とのギャップで動く』

  • A社:純利益が前年比+50%!(すごい!) → しかし、市場は+70%を期待していた。

    • 結果:【失望売り】で暴落。

  • B社:純利益が前年比マイナス10%。(悪い…) → しかし、市場はマイナス30%を覚悟していた。

    • 結果:【悪材料出尽くし】で急騰。

「良い決算」かどうかを決めるのは、あなたではなく市場です。
この「市場の期待値」と「実際の実績」のズレを、決算発表という答え合わせの前に予測できなければ、それはただのギャンブルなのです。

第2章:利益(過去)を見るな、【KPI(未来)】を見よ

決算書に書かれている「売上」や「利益」は、あくまで【過去の結果】です。
プロが注目するのは、その結果を生み出す“先行指標”である【KPI】(Key Performance Indicator)です。

業種によって、見るべきKPIは全く異なります。

  1. 【SaaS・サブスク型】(例:Salesforce, Netflix)

    • 見るべきKPI:【ARR】(年間経常収益)、【解約率】(チャーンレート)

    • 利益が赤字でも、ARRが伸び続け、解約率が低ければ、将来の黒字化は約束されています。プロはここを見ています。

  2. 【小売・飲食・アパレル】(例:ユニクロ, マクドナルド)

    • 見るべきKPI:【月次売上高】(既存店売上高)

    • 多くの企業が、決算より前に「毎月の売上速報」を出しています。これを毎月チェックしていれば、3ヶ月後の決算が「良い」か「悪い」かは、計算機を叩けば誰でも分かります。

  3. 【製造業・半導体】(例:東京エレクトロン)

    • 見るべきKPI:【受注残高】(BBレシオ)

    • まだ売上になっていないが、注文を受けている金額。「受注」が増えていれば、来期以降の「売上」が増えるのは必然です。

第3章:「月次情報」という“カンニングペーパー”を使え

個人投資家が勝てる確率が最も高いのは、上記2の【月次(げつじ)情報】が開示されている銘柄です。

例えば、「ワークマン」や「ユニクロ」は、毎月、売上速報を出しています。
もし月次売上が「1月:110%」「2月:115%」「3月:120%」と推移していたら? 3ヶ月分を合計すれば、次の四半期決算が「絶好調」であることは、発表される前から【確定事項】に近いレベルで分かります。

しかし、多くの投資家は、この「カンニングペーパー」を見ずに、決算発表当日に「サプライズだ!」と騒ぎます。 KPIを追っている投資家だけが、「サプライズでも何でもない。3ヶ月前から分かっていたことだ」と、冷静に利益を確定できるのです。

第4章:学園長が「経済指標またぎ」で大損した日

私も、FXで投資を行っていた頃、株式で言うKPI分析と類似するFXの「経済指標またぎ」で楽観投資をして大損した経験があります。
短期トレードでは一回一回の経済指標、KPI分析が結果(損益)の大きな原因になります。

この失敗から、私は学びました。 『決算またぎは、全てのKPIとコスト構造を把握しているプロか、あるいは“10年保有する覚悟”がある長期投資家以外は、やってはいけない』と。 今では、私は「決算またぎ」を、短期的な利益を狙うイベントとしては使いません。あくまで、保有しているインデックスやサテライト銘柄の「長期的な成長ストーリー」が崩れていないかを確認するための、【定期健康診断】として接しています。

【次のステップへ】 おめでとうございます! これであなたは決算の“中身”を先読みする、KPI分析の視点を手に入れました。

しかし、こう思いませんか? 「この知識を使って、4,000社もある日本株全部を分析するのは、正直、面倒くさい…」

その通りです。だからこそ、私たちは【AI】を使います。 次の講義では、今回学んだ【PER】や【PBR】、【ROE】、そしてこの【KPI分析】の視点までをもAIに指示(プロンプト)として落とし込み、AIをあなた専属の“超優秀なファンドマネージャー”に変身させる、究極の実践術をご紹介します。

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まとめ:あなたは“データの予言者”たれ

決算発表は、運試しの日ではありません。 日々のKPIという「点」を繋ぎ合わせ、決算という「線」を予測する、答え合わせの日です。

カンニングペーパー(データ)は、実はあちこちに落ちています。 それを拾うか、拾わないか。

今日からあなたは、ただ祈るギャンブラーではありません。 データを集め、未来の業績を論理的に予言する、賢明なるデータの予言者なのです。

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