「お金持ち養成大学」へようこそ。
銀行預金の金利がほぼゼロのこの時代、「配当利回り5%」「年間配当金10万円」といった言葉は、投資家にとって、抗いがたい【魔力】を持っています。
何もしなくても、定期的にお金がチャリンチャリンと振り込まれる「配当金生活」は、多くの人が夢見るゴールの一つでしょう。
しかしもし、その高い配当金が、会社が生み出した【利益】からではなく、会社が過去に蓄えた【貯金(資産)】を切り崩して、無理やり支払われているものだとしたら…?
それはタコが空腹を満たすために、自らの足を食べているのと同じ、極めて危険な状態です。 私たちは、これを【タコ足配当】と呼びます。
この記事は、あなたが見せかけの高利回りに騙されず、その配当が「健全な利益」から生み出されているのか、それとも「自らの身を削った血」なのかを見抜くための、解体新書です。
第1章:【配当利回り】という“甘い罠”
まず、基本をおさらいしましょう。
【配当利回り】とは、株価に対して、1年間でどれだけの配当金を受け取れるかを示す割合です。
配当利回り = 1株当たりの年間配当金 ÷ 現在の株価 × 100
「利回り5%」とは、100万円投資すれば、年間5万円が(税引前で)受け取れることを意味します。これは、銀行預金の数千倍も魅力的です。
しかしここで思考停止してはいけません。 『その配当金は、一体“どこから”支払われているのか?』 この源泉こそが、天国と地獄の分かれ道なのです。
第2章:恐怖の【タコ足配当】とは何か?
会社が配当金を支払うための原資は、原則として、その期に稼いだ【当期純利益】であるべきです。 しかし、業績が悪化して利益が出なかった場合でも、株主を繋ぎ止めるために、過去の蓄積(=利益剰余金という名の貯金)を取り崩して、無理やり配当を出す会社があります。
これが【タコ足配当】です。
タコ(会社)が、エサ(利益)を取れないから、自分自身の足(過去の貯金)を食べて、生き延びている状態。 その足を食べ尽くしたら、タコの(会社の)命運が尽きるのは、誰の目にも明らかです。 『タコ足配当とは、株主に「今だけは安心してください」と伝えるための、会社の“最後の悲鳴”』なのです。
ポンジ・スキームと同じですね!
第3章:“タコ足”を見抜く最強の指標【配当性向】
では、この危険なタコ足配当をどうやって見抜けばよいのでしょうか。 そのための最強の指標が【配当性向】です。
配当性向 = 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100
これは、『会社が稼いだ純利益のうち、何パーセントを配当金として株主に還元したか』を示す指標です。
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【配当性向 30%〜50%】(超・健全) 稼いだ利益の半分以下を配当し、残りは将来の成長のために再投資(内部留保)している、非常に健全な状態です。
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【配当性向 80%〜100%】(警戒) 稼いだ利益のほとんどを配当に回している状態。株主還元意識が高いとも言えますが、将来の成長投資に資金を回す余力がなく、自転車操業の可能性があります。
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【配当性向 100%超】(危険信号!) 稼いだ利益(例:100億円)以上に、配当金(例:120億円)を支払っている状態。これこそが【タコ足配当】です。不足分の20億円は、過去の貯金(利益剰余金)を取り崩して支払っています。
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【当期純利益が赤字】(論外) 利益が赤字なのに配当を出している場合、配当性向は計算不能(マイナス)になりますが、これは100%タコ足配当です。一刻も早く逃げるべきです。
第4章:学園長は高配当はまだ手を出さない
私も、高配当という魔力に魅入られた経験があります。
しかし配当金は受け取る時に税金が引かれてから受け取りになります。投資終盤であれば、毎月のように入ってくる高配当株はとても素敵な投資商品の一つであることは間違いありません。
たとえば年利8%といった高配当株があったとして、その受け取った配当金を再投資するようであれば、最初からS&P500などの再投資されるインデックスに投資した方が、資産が伸びるスピードは差し引きが無い税金分、とても早くなるのです。
ですので、高配当株の魅力は資産が十分に育った後の出口戦略の一つとして、私は考えるようにしています。
まとめ:あなたは“配当の源泉”を見抜く投資家たれ
高い配当利回りは、魅力的な“果実”です。
しかしその果実が、豊かな土壌(=本業の利益)から生まれているのか、それとも、木の幹(=過去の資産)を削って無理やり作られているのか。
あなたが本当に投資すべきは、目先の高い利回りではありません。 その配当を、来年も、5年後も、10年後も、安定して生み出し続けることができる、企業の【稼ぐ力】そのものです。
今日からあなたは、ただ果実をもらう消費者ではありません。 その果実が育つ“源泉”を見抜く、賢明なる投資家たれ!
