「お金持ち養成大学」へようこそ。
株式市場には、初心者を混乱させる「理不尽な現象」が溢れています。
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「過去最高益を発表したのに、株価が暴落した」
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「赤字で倒産寸前の会社なのに、株価が急騰した」
これを見て、「株価なんてデタラメだ」「分析なんて意味がない」と諦めてしまうのは早計です。
市場はデタラメではありません。ただ、決定プロセスが【2段階】に分かれているだけなのです。
『企業の“本来の価値”を決めるのは、ファンダメンタルズ(業績)である』
『しかし、その瞬間の“株価”を決めるのは、テクニカル(需給)である』
この記事は、この一見矛盾する2つの力学を理解し、市場の理不尽さに振り回されない「不動の心」を手に入れるための、投資哲学の講義です。
第1章:ファンダメンタルズは「重力」である
まず長期的な視点に立ちましょう。 企業の【企業価値(時価総額)】を決定づけるものは、間違いなくファンダメンタルズ(業績)です。
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利益(EPS)が毎年10%成長し続ける会社。
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純資産(BPS)が積み上がり続ける会社。
これらの会社の株価は、長期的には必ず上昇します。
なぜなら、ファンダメンタルズには【重力】のような性質があるからです。 どんなに株価が乱高下しても、最終的にはその企業が持つ「実力(本来の価値)」の場所へと、強力な磁力で引き寄せられていきます。
10年、20年という単位で見れば、株価と業績の相関関係はほぼ100%になります。
第2章:テクニカルは「風」である
しかし、短期(数日〜数ヶ月)の世界では、重力は無視されます。
ここで株価を動かすのは、ファンダメンタルズではなく、【テクニカル(需給と心理)】です。
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「もっと上がるはずだ」という【強欲】が買いを呼び、実力以上に株価を吊り上げる。
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「もうダメだ」という【恐怖】が売りを呼び、実力以下まで株価を叩き落とす。
これは、市場に吹く【風】のようなものです。 風が強く吹けば、枯れ葉(ボロ株)でも空高く舞い上がりますし、立派な果実(優良株)でも地面に叩きつけられます。
短期的には、「良い会社か」どうかよりも、「今、風がどっちに吹いているか(トレンド)」の方が、株価への影響力は圧倒的に強いのです。
第3章:アンドレ・コストラニーの「犬と飼い主」
この「ファンダメンタルズ(価値)」と「テクニカル(価格)」の関係を、最も見事に表現した例え話があります。
伝説の相場師、アンドレ・コストラニーの【犬と飼い主】の話です。
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飼い主 = 経済・企業価値(ファンダメンタルズ)
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犬 = 株価(テクニカル)
飼い主(企業価値)は、目的地に向かってゆっくりと歩いています。
しかし、散歩に連れている犬(株価)は、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、走り回って落ち着きがありません。 時には飼い主より遥か先(割高)まで走り、時には飼い主より遥か後ろ(割安)まで遅れます。
しかし、重要なことは一つ。 『犬は、最終的には必ず飼い主の元へ戻ってくる』ということです。
株価(犬)がどれだけ暴走しようとも、リード(紐)で繋がれている以上、企業価値(飼い主)から永遠に離れることはできないのです。
第4章:学園長が「犬」を追いかけるのをやめた日
この大学の学園長である私も、かつては「犬(株価)」の動きばかりを目で追っていました。 犬が走り出せば(急騰)、「待ってくれ!」と追いかけて高値で掴み、犬が戻ってくれば(急落)、「噛みつかれる!」と怖くなって安値で手放す。
その結果、私は疲れ果て、資産を減らすばかりでした。
しかし、この理論を理解してからは、私は犬を見るのをやめ、【飼い主(企業価値)】だけを凝視するようになりました。 「犬が今どこにいるかは関係ない。飼い主が、確実に前に進んでいる(増収増益している)なら、それでいい」
そして、テクニカル分析をこう使うようになりました。 『犬が、飼い主より後ろに大きく遅れた時(=暴落時)だけ、リードを手繰り寄せて買う』 これこそが、ファンダメンタルズとテクニカルを統合した、私の投資の必勝パターンとなったのです。
まとめ:あなたは“飼い主の観察者”たれ
株価(犬)は、気まぐれで、嘘をつき、あなたを惑わせます。 しかし、企業価値(飼い主)は、嘘をつきません。
犬に振り回されて息を切らすのではなく、飼い主の歩みだけを信じて、共に歩く。
これは例え話ではありましたが、難しく考えるほど勝てない、勝とうとするほど勝てない、市場をコントロールしようとするほど勝てない。それがワンちゃん理論で伝えた私の投資哲学です。
今日からあなたは、犬を追いかける子供ではありません。 リードの先にある本質的な価値を見据える、賢明なる飼い主の観察者なのです。
