「SNSアカウントを運用しているけど、フォロワーが増えるだけで売上に繋がらない…」
「広告を出しても、ユーザーに”広告”だと見抜かれてスルーされてしまう…」
「今の時代、どうすればSNSで本当にモノが売れるんだろう?」
企業のSNS担当者なら、誰もがこうした壁にぶつかっています。その答えは、企業が発信する「きれいな広告」の中には、もはや存在しないのかもしれません。
今回ご紹介するのは、ホットリンクCMOの飯髙悠太氏による『僕らはSNSでモノを買う』。
この本は、SNS運用の小手先のテクニックを教えるものではありません。
なぜ現代の消費者が、企業広告ではなく「一般の人のクチコミ」を信じて商品を買うのか、その心理と行動プロセスを解き明かし、これからの時代に必須となる新しいマーケティングの地図を示してくれる一冊です。
この記事では、本書の核心である「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」と、購買行動の新法則「ULSSAS(ウルサス)」について、具体的な使い方と共に徹底解説します。
時代は変わった:企業広告が「信じられない」理由
本書がまず突きつけるのは、現代の消費者が置かれている厳しい現実です。私たちは毎日、大量の広告情報に晒され、その多くを「企業の宣伝文句」として無意識に読み飛ばしています。
そんな中で、私たちが本当に信頼するのは何か? それは、友人や、好きなインフルエンサー、あるいは見ず知らずの誰かがSNSに投稿した、リアルな「使ってみた」という感想です。
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企業が作ったピカピカの化粧品広告
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友人がInstagramのストーリーにあげた「この化粧水、マジで良かった!」という投稿
どちらの情報を、あなたは信じますか?
このユーザー自身が生み出すコンテンツ(UGC = User-Generated Content)こそが、現代の購買行動の起点となっているのです。
新時代の購買行動モデル「ULSSAS(ウルサス)」
本書では、UGCを起点とした、新しい購買行動モデル「ULSSAS(ウルサス)」が提唱されています。これは、現代のSNS時代における消費者のリアルな動きを示しています。
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UGC (ユーザー投稿)
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ユーザーがSNSで商品に関する投稿(UGC)をする。
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Like (いいね)
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それを見た別のユーザーが「いいね!」をする。
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Search (SNS検索)
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気になったユーザーが、ハッシュタグなどでSNS内を検索し、他の人のリアルなクチコミ(UGC)を探す。
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Search (Google/Yahoo!検索)
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さらに興味を持ったユーザーが、Googleなどで検索し、公式サイトの価格や詳細情報を確認する。
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Action (購買)
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納得したユーザーが、商品を購入する。
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Share (共有)
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商品を使ったユーザーが、自らもSNSに感想を投稿(UGC)し、次のUGCを生み出す。
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【具体例】ある女性が新しいコーヒーメーカーを買うまで
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(U) UGC: Instagramでフォローしている人が「新しいコーヒーメーカー、デザインも良くて最高!」と投稿しているのを見る。
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(L) Like: その投稿に「いいね!」する。
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(S) SNS検索: Instagramで「#〇〇コーヒーメーカー」と検索。他の人が投稿した、キッチンの写真や、実際に使っている動画を見て、リアルな使用感を確かめる。
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(S) Google検索: Googleで「〇〇コーヒーメーカー 口コミ」と検索。機能比較サイトや公式サイトで、価格や性能を最終チェックする。
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(A) Action: ECサイトで購入ボタンを押す。
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(S) Share: 届いたコーヒーメーカーの写真を撮り、「おうちカフェが充実しそう!」と、自分もInstagramに投稿する。
このループが、自然発生的に売れ続ける仕組みの正体です。
あなたの会社がやるべきこと:「UGCの種まき」
では、企業はこの流れの中で何をすべきなのでしょうか?それは「企業が良い広告を作ること」ではなく、「ユーザーがUGCを投稿したくなるような”仕掛け”を作ること」です。
使い方1:思わずシェアしたくなる「体験」を設計する
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飲食店の場合: 写真に撮りたくなるような、見た目にインパクトのあるメニューを開発する。店内にユニークなフォトスポットを用意する。
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ECサイトの場合: 商品だけでなく、届いた瞬間に「かわいい!」と思えるような、こだわりの梱包材を使う。商品と一緒に、思わず飾りたくなるようなオシャレなサンクスカードを同封する。
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アパレルブランドの場合: 商品タグにブランドの世界観が伝わるメッセージや、ユニークなハッシュタグを記載しておく。
使い方2:UGCを「発見」して「称賛」
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自社ブランドに関するUGCを、SNS上で積極的に探しにいきましょう。
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見つけたら、「いいね!」や「素敵な投稿ありがとうございます!」といったコメントを残します。企業からの反応は、ユーザーにとって非常に嬉しいサプライズです。
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特に素晴らしい投稿は、投稿者の許可を得た上で、自社の公式アカウントで紹介(リポスト)させてもらいましょう。これは、何よりも強力な「お客様の声」となります。
まとめ:マーケティングの主役は「顧客」である
『僕らはSNSでモノを買う』が教えてくれるのは、企業が主役の時代は終わり、マーケティングの主役が「顧客」へと完全に移ったという事実です。
私たちがやるべきことは、一方的に情報を発信することではありません。顧客同士の会話が生まれやすい環境を整え、その輪にそっと加わり、コミュニティを育てていくことです。
「どうすれば、お客様が私たちのことを語ってくれるだろう?」
この問いこそが、これからのSNSマーケティングの、すべての出発点となるのです。
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