なぜ【出来高】は株価に先行するのか?: 出来高急増が教える相場の転換点

投資分析・短期トレード・基礎用語学科

「お金持ち養成大学」へようこそ。
あなたがチャートを見る時、真っ先に目が行くのはどこでしょうか? おそらく、画面の上半分にある【ローソク足(株価)】の動きでしょう。

しかし、プロの投資家は違います。彼らは、ローソク足と同じくらい、いや、時にはそれ以上に、画面の下半分にある棒グラフ、すなわち【出来高】を凝視しています。
なぜなら、株価は市場の操作や一時的な綾(あや)で「嘘」をつくことがありますが、お金を使った売買の総量である出来高だけは、決して「嘘」をつかないからです。

『出来高は、株価に先行する』 この相場の格言が意味する本当のメカニズムを理解した時、あなたは「ダマシ」の上げに飛びつくことなく、本当のトレンドの始まりと終わりを見抜けるようになります。

この記事は、チャート分析における“真実の指標”である出来高を読み解くための、テクニカル分析の重要講義です。

第1章:【出来高】とは何か? 車における「ガソリン」である

出来高とは、その期間中に成立した売買の数量(株数)のことです。 これを投資の世界では、【エネルギー】や【燃料】に例えます。

  • 株価 = 車

  • 出来高 = ガソリン(燃料)

どんなに立派なスポーツカー(株価上昇の形)でも、ガソリン(出来高)が入っていなければ、遠くまで走ることはできません。すぐに止まってしまいます。
逆に、今は止まっている車でも、ガソリンが満タンに給油され、エンジンが唸りを上げ始めれば(出来高急増)、これから猛スピードで走り出す予兆となります。

『株価が動く前に、まず出来高(エネルギー)が動く』 これが、「出来高は株価に先行する」という言葉の物理的な意味なのです。

第2章:出来高急増が教える「天井」と「大底」

出来高が普段とは違う動き(急増・急減)を見せた時、それは相場の転換点である可能性が高いです。

  1. 【セリング・クライマックス】(大底のサイン)
    株価が暴落を続け、市場が恐怖に包まれた最終局面。 これまで耐えていた投資家が一斉に「もうダメだ!」と投げ売りし、それを大口投資家が「待ってました!」と買い向かうことで、出来高が爆発的に急増し、長い下ヒゲをつけます。
    これが、売り圧力がすべて出尽くした合図であり、相場の【大底】となります。

  2. 【バイイング・クライマックス】(天井のサイン)
    株価が上昇を続け、ニュースでも話題になり、普段投資をしない人までが「今買えば儲かる!」とイナゴのように群がってくる局面。 出来高は最高潮に達しますが、実はここで賢明な投資家(プロ)は、初心者に株を売り渡して逃げています。
    熱狂の中での出来高急増は、買い圧力がピークに達した合図であり、相場の【天井】となります。

第3章:危険なサイン【ダイバージェンス(逆行現象)】

最も注意すべきは、株価と出来高の動きが食い違う【ダイバージェンス】です。

  • 危険なパターン:「株価は上昇しているのに、出来高は減少している」

これは、車で言えば「坂道を登っているのに、アクセルを緩めている(ガソリン供給が減っている)」状態です。 慣性の法則でまだ進んでいますが、エネルギー不足で失速し、逆走(暴落)し始めるのは時間の問題です。 高値圏でこの現象が起きたら、トレンドの終焉は近いです。

第4章:学園長が「出来高」を見て“買い増し”を決める瞬間

この大学の学園長である私は、普段はインデックス投資の積立を淡々と続けています。 しかし、暴落相場が来た時だけは、ハンターのような目で【出来高】を監視します。

例えば、S&P500が連日下落し、ニュースが悲観一色になった時。
私はまだ買いません。「まだ下がるかもしれない」からです。 私が待っているのは、株価が大きく下がり、同時に【出来高が異常なほど急増】する日、いわゆる「セリング・クライマックス」の瞬間です。

「ああ、これで恐怖に駆られた人たちの投げ売り(=燃料の放出)は終わったな」
そう確信できた時、私は保有している余剰資金(キャッシュ)を投入し、スポットでの買い増しを行います。
株価という「価格」だけを見ていては、底は分かりません。出来高という「市場のエネルギー残量」を見ることで初めて、落ちてくるナイフを掴まずに、反転の初動を捉えることができるのです。

まとめ:あなたは“市場エネルギーの測定士”たれ

株価は、投資家の「意思」を表します。
しかし出来高は、投資家の「本気度(エネルギー)」を表します。

意思だけのトレンドは脆く、エネルギーを伴ったトレンドは強い。

今日からあなたは、ただ株価を追う傍観者ではありません。 市場の燃料タンクを確認し、トレンドの持続力を冷静に見極める、賢明なる市場エネルギーの測定士なのです。

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