バフェットはPLよりBSを読む: 『資産の質』こそが10年後の勝者を決める理由

投資分析・短期トレード・基礎用語学科

「お金持ち養成大学」へようこそ。
これまでの講義で、私たちは【PL(損益計算書)】を見て「本業の強さ(営業利益)」を学び、【BS(貸借対照表)】を見て「会社の体力(自己資本比率)」を学んできました。

多くの投資家は、PLの【利益成長】という華やかな「成績表」に夢中になります。
しかし、投資の神様ウォーレン・バフェットは、そのPL(成績表)よりも、【BS(健康診断書)】の方を、遥かに、遥かに執拗に読み込むと言われています。 なぜか?

それは、PLが『その会社が、この1年間に“何を言ったか”(短期的な成績)』を示すものであるのに対し、BSは『その会社が、設立以来“何をしてきたか”(長期的な結果)』を示す、動かぬ証拠だからです。
10年後の勝者を見抜く鍵は、【資産の質】という、BSにしか書かれていない“歴史”に隠されています。

この記事は、あなたが短期的な利益成長に踊らされるのをやめ、バフェットと同じ視点で、企業の“10年続く本質的な強さ”を見抜くための、最重要講義です。

第1章:【PL(成績表)】の限界 ― “良い成績”は作れる

PLは、会社の「成績表」です。しかし、成績表は、やり方によっては“良く見せる”ことができてしまいます。

  • 無理なコストカットで、一時的に利益を捻出する。

  • 本業が不調でも、資産売却益(特別利益)で、最終黒字に見せかける。

PLが示すのは、あくまで「この1年間の結果」であり、その利益が【持続可能】なのか、それとも【一発屋】なのかまでは、教えてくれません。
PLだけを信じるのは、テストの点数だけを見て、その生徒の“本当の実力”を信じ込むようなものなのです。

第2章:【BS(健康診断書)】こそが“経営者の哲学”を映す鏡

BSは、会社の「健康診断書」であり、その会社の“歴史”そのものです。
会社が設立以来、稼いできた利益(PLの結果)は、【純資産】としてBSに毎年蓄積されていきます。

バフェットが知りたいのは、その蓄積された【純資産(自己資本)】を、経営者が「何に使ってきたか?」という、歴史(=資産の部)です。 その「使い方」にこそ、経営者の“哲学”と“実力”が、すべて現れるからです。

  • 【無能な経営者】のBS
    稼いだ利益(純資産)を、本業と無関係な不動産や株に変え(=財テク)、挙句の果てに、価値のない在庫の山(=腐った資産)に変えてしまう。BSはブクブクと太るが、【ROE】は下がり続ける。

  • 【有能な経営者】のBS
    稼いだ利益(純資産)を、①さらなる利益を生むための「本業(=質の高い資産)」に再投資し、②余った分は「自社株買い」や「配当」で株主に還元する。BSは筋肉質(高ROE)なまま、成長していく。

第3章:バフェットが見る【資産の質】とは何か?

バフェットが探しているのは、【強固な経済的な堀(Economic Moat)】を持つ会社です。 そして、その「堀」の存在は、BSの【資産の部】を見れば、一目瞭然なのです。

  1. 【“見えない”資産】(ブランド・特許)
    コカ・コーラやAppleのBS(資産)には、「ブランド価値」という項目は、ごく僅かしか計上されていません。しかし、その“見えない資産”こそが、他社を寄せ付けない圧倒的な利益(高ROE)を生み出す源泉です。バフェットは、帳簿(BS)に載らない価値を見ています。

  2. 【少ない“借金”】(高い自己資本比率)
    本当に強い会社は、借金(負債)をしなくても、本業で稼いだ莫大な現金(営業キャッシュフロー)だけで、十分に成長していけます。高い【自己資本比率】は、その会社が“他人に頼らずに戦える”という、強さの証なのです。

  3. 【少ない“運転資本”】
    これは上級者向けの視点ですが、強い会社(例:Apple)は、顧客から先にお金をもらい(前受金)、仕入れ先への支払いを後回しに(買掛金)できます。つまり、他人の金(負債)を使って、自社のビジネス(資産)を回せるのです。BSを見るだけで、その会社の「交渉力」まで透けて見えます。

第4章:学園長が「PL」を捨て「BS」を選んだ理由

私がバフェットと同じようにPLよりもBSを大切にする根源をお伝えします。
私が以前働いていた企業で常務取締役を任されていた時に実際に、実感した内容です。

任されていたある店舗で、その年の売上が1億ほどある店舗でした。内容からすれば、まずまずの良い売上(PL)でした。
その裏、トップセールスを叩きだしていた従業員が結婚を機に辞めていきました。売り上げの3割を頼ったエースでした。

その後、一旦改めて彼女のようなトップセールスを輩出するまで、単純に3割ほどの売上が翌年から落ちました(BS)。
そしてトップセールスの彼女だけに頼っていた店舗体質に疑問を持ち、店舗のシステム構築やトップセールス教育といった今後10年を形作る運営に力を入れ始めました。

手前の数字が良い(PL)だけを見て投資をしたら、翌年の店舗の内情(BS)で結果が大きく変わってくる良い例だと感じて、ここでお伝えさせていただきました。


【次のステップへ】 おめでとうございます! これであなたは『企業の“本当の強さ(資産の質)”』を見抜く、バフェットの視点を手に入れました。

しかし、こう思いませんか? 「この知識を使って、4,000社もある日本株全部を分析するのは、正直、面倒くさい…」

その通りです。だからこそ、私たちは【AI】を使います。 次の講義では、今回学んだ【PER】や【PBR】、【ROE】といった全ての知識をAIに指示(プロンプト)として落とし込み、AIをあなた専属の“超優秀なファンドマネージャー”に変身させる、究極の実践術をご紹介します。

講義【AI株式スクリーニング術】で最強のプロンプトを学ぶ

まとめ:あなたは“企業の歴史家”たれ

PLは、その会社の「今年の顔」です。 BSは、その会社の「生き様」そのものです。

短期的なリターンを求めるなら「顔」を見ても良いでしょう。
しかし、10年、20年と付き合える、本物のパートナーを探すなら、その会社の「生き様」を見なくてはなりません。

今日からあなたは、ただの成績ウォッチャーではありません。 BSという名の“歴史書”を読み解き、未来の勝者を予見する、“賢明なる企業の歴史家”なのです。

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