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投資を始めたばかりの人が、最初に覚える必殺技。それが【ゴールデンクロス(買い)】と【デッドクロス(売り)】ではないでしょうか。
「短期の線が、長期の線を上に抜けたら買いだ!」 チャートソフトも、このサインが出ると親切に「買いシグナル点灯!」と教えてくれます。
しかし、実際にこの通りに売買してみて、どうでしたか?
「買った瞬間に下がった」
「売った瞬間に上がった」
そんな経験をした人が多いはずです。
なぜなら、このシグナルには、【ダマシ】と呼ばれる偽物のサインが、あまりにも多いからです。
この記事は、あなたが教科書通りの知識で損をするのを防ぎ、プロが見ている「本当のクロスの見極め方」を学ぶための、実践的なテクニカル講義です。
第1章:基本のおさらい ― 2本の線が描く「交差」の意味
まず、基本をおさらいしましょう。このシグナルは、【移動平均線】(一定期間の株価の平均値を結んだ線)を2本使います。 一般的には、「短期線(例:25日)」と「長期線(例:75日)」の組み合わせが使われます。

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【ゴールデンクロス(GC)】:
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短期線が、長期線を「下から上へ」突き抜けること。
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意味:直近の勢い(短期)が、過去の傾向(長期)を上回った。「これから上昇トレンドが始まるかもしれない」という、買いのサイン。
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【デッドクロス(DC)】:
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短期線が、長期線を「上から下へ」突き抜けること。
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意味:直近の勢い(短期)が、過去の傾向(長期)を下回った。「これから下落トレンドが始まるかもしれない」という、売りのサイン。
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第2章:なぜ「ダマシ」が多発するのか? 致命的な弱点
これほどシンプルなサインなのに、なぜ負けるのか? それは、移動平均線が持つ【遅行性(ちこうせい)】という、致命的な弱点があるからです。
移動平均線は、あくまで「過去の株価の平均」です。 つまり、株価が実際に上がってから、数日遅れて線が上がり始め、さらに数日遅れてようやく「クロス」が発生します。

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真実:「ゴールデンクロスしたから、株価が上がる」のではない。
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現実:「株価が十分に上がったから、結果としてゴールデンクロスした」のである。
つまりクロスした瞬間には、すでに株価は上がりきっていて、そこが「天井」だった…という悲劇が起こりやすいのです。特に、明確なトレンドがない【レンジ相場(横ばい)】では、このクロスは全く役に立たないどころか、損失を量産するマシーンと化します。
第3章:“本物”を見抜くための「2つのフィルター」
では、ダマシを回避し、本物のトレンドに乗るにはどうすればいいのでしょうか? プロは、クロスそのものよりも、以下の2点を重視します。

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【長期線の向き】を確認せよ これが最も重要です。
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良いGC:長期線が「上向き」、または「横ばい」の状態でクロスした。→ トレンドに乗れる可能性大。
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悪いGC:長期線が「下向き」の状態でクロスした。→ これは単なる「一時的なリバウンド」であり、すぐに跳ね返されて下落する可能性が高い。(グランビルの法則)
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【出来高】の裏付けはあるか?
前回の講義で学んだ通りです。 ゴールデンクロスした瞬間に、【出来高が急増】しているかを確認してください。 出来高(エネルギー)を伴わないクロスは、単なる「あや」であり、すぐに失速する「偽物のシグナル」です。
第4章:学園長が「ゴールデンクロス」を無視する時
この大学の学園長である私は、基本的にゴールデンクロスなどのシグナルだけで売買することはありません。 特に私が無視するのは、『底値圏での、急騰によるゴールデンクロス』です。
暴落した後、株価が急激にリバウンドすると、きれいなゴールデンクロスが発生します。多くの人は「底打った!買いだ!」と飛びつきます。
しかし私は手を出しません。なぜなら、急騰の後には必ず反動安があり、まだ長期線(75日線や200日線)が下を向いていることが多いからです。
私が本当に信頼してエントリーするのは、その後の【パーフェクトオーダー】(短期・中期・長期の線が、上から順に並び、全て上を向いている状態)が完成しつつある時だけです。 「頭(最安値)としっぽ(最高値)」を取ろうとするのは欲張りです。 クロスを確認し、さらにトレンドが安定したのを確認してから、胴体部分だけを美味しくいただく。それが、大人の投資スタイルです。
まとめ:あなたは“信号機の確認者”たれ
ゴールデンクロスは、青信号です。 しかし、青信号だからといって、左右を見ずに横断歩道を渡れば、車に轢かれます。
「青になった(クロスした)。だが、車は来ていないか(長期線の向きは? 出来高は?)」
今日からあなたは、信号だけを見て飛び出す子供ではありません。 周囲の安全を冷静に確認してから進む、賢明なる信号機の確認者なのです。
