ROEは稼ぐ力の通知表:【ROE8%】が最低ラインと言われる本当のワケ

投資分析・短期トレード・基礎用語学科

「お金持ち養成大学」へようこそ。
これまでの講義で、私たちは【PER】(市場の期待度)【PBR】(資産の割安度)という、2つの重要な指標の「罠」について学んできました。
しかしこの2つを凌駕するほど、投資家がその会社の“本質的な実力”を見抜くために重視している、最強の指標があります。

それが【ROE】(自己資本利益率)です。
これはその会社の「稼ぐ力」をパーセンテージで明確に示す、まさに【経営者の通知表】とも呼べるものです。そして、多くのプロ投資家が「最低ラインは8%」と口を揃えます。 なぜ「8%」なのか? その数字の裏にある、投資の本質を理解していますか?

この記事は、あなたがPBRの罠(低ROEの罠)を回避し、本当の意味で「稼ぐ力のある会社」を見抜くための、最重要講義です。

第1章:ROEとは何か?(1分間でおさらい)

まず、ROEの定義をおさらいしましょう。
【ROE】(Return On Equity)とは、以下の計算式で求められます。

当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

これは平たく言えば、『会社が、株主から預かったお金(=自己資本)を使って、どれだけ効率よく、純粋な利益(当期純利益)を稼ぎ出したか』を示す、経営の【効率性】を測る指標です。

  • A社:自己資本100億円を使い、10億円の利益を稼いだ → ROE 10%

  • B社:自己資本100億円を使い、3億円の利益しか稼げなかった → ROE 3%

A社の方が、株主のお金を2倍以上うまく使えている、優秀な経営であると一目でわかります。

第2章:なぜ【ROE8%】が“最低ライン”と言われるのか?

ではなぜ「8%」という数字が、一つの基準になるのでしょうか。
その答えは、私たち投資家(株主)の立場になれば、非常にシンプルです。

『ROEが8%未満の会社は、投資家のお金を預かって運用しているのに、その成果が、投資家が自分でS&P500に投資するよりも下手(非効率)だから』です。

S&P500の過去の平均リターンは、インフレや税金を考慮しても、おおよそ年7〜8%に収束すると言われています。(※FIREの記事参照)
私たち投資家は、わざわざ個別株のリスクを取る以上、少なくともこの【S&P500の平均リターン(=約8%)】は超える成果を、経営者に期待します。

ROE8%とは、経営者に対して株主が突きつける『我々の期待に応えるための、最低限の“ノルマ”である』という、極めて重い数字なのです。

第3章:【低ROE】は“罪”である ― PBR1倍割れの本当の理由

前回のPBRの講義で、『PBR1倍割れの最大の原因は、低ROE(稼ぐ力の低さ)にある』とお話ししました。
その理由が、これで繋がったはずです。

市場(投資家)は、ROEが8%にも満たない(=S&P500に負けている)ような、資本効率の悪い経営者に対して、その会社が持つ資産(純資産)の価値を、額面通りに認めるでしょうか? 認めるはずがありません。

『ROEが低い(例:3%)ということは、その会社に1000円預けても、年間30円のリターンしか生み出せないということだ。そんな効率の悪い会社に、額面通りの1000円(PBR1倍)の価値はない。半額の500円(PBR0.5倍)で十分だ』 これこそが、【PBR1倍割れ】で放置される企業の、悲しい正体なのです。

第4章:学園長が「ROE」を“経営者の通信簿”と呼ぶワケ

私も個別株を分析する際、PERやPBRといった「株価」の指標よりも先に、まず間違いなく【ROE】とその「過去5年間の推移」を見ます。

なぜなら、PERやPBRが市場の気分や期待度で変動する【人気投票(株価)】の結果であるのに対し、ROEは、その経営陣がどれだけ株主資本を意識し、効率よく稼いできたかという【経営の実力(業績)】そのものを示す、動かぬ証拠だからです。

私が探すのは、『PERは低いが、ROEが年々着実に(8%→10%→12%と)上昇している会社』です。
これは、市場(PER)がまだその経営者の実力(ROE)の変化に気づいていない、【隠れた優等生】である可能性が極めて高いからです。 逆に、PBRがどれだけ割安に見えても、『ROEが5%以下で低迷している会社』には、経営陣が入れ替わらない限り、私は投資しません。それは、株主のお金を有効活用する気がない、と自ら白状しているようなものだからです。

まとめ:あなたは“経営者の実力を測る投資家”たれ

PERは【期待】、PBRは【資産】、そしてROEは【実力】を測る指標です。
この3つの中で、唯一、経営者が自らの努力で改善できるのがROEなのです。

その会社のROEが高いか、低いか。そして、年々上昇しているか、下降しているか。 それを見るだけで、その経営者が「株主(あなた)」のために働いているか、それとも「自分の地位」のために働いているかが、透けて見えてきます。

今日からあなたは、ただ株価の上下に一喜一憂する投機家ではありません。 ROEという名の“通知表”を冷静に分析し、経営者の実力を見抜く、“賢明なる投資家”なのです。

【次のステップへ】 おめでとうございます! これであなたは賢明なる投資家の視点を手に入れました。

しかし、こう思いませんか? 「この知識を使って、4,000社もある日本株全部を分析するのは、正直、面倒くさい…」

その通りです。だからこそ、私たちは【AI】を使います。 次の講義では、今回学んだ【PER】や【PBR】、【ROE】といった全ての知識をAIに指示(プロンプト)として落とし込み、AIをあなた専属の“超優秀なファンドマネージャー”に変身させる、究極の実践術をご紹介します。

講義【AI株式スクリーニング術】で最強のプロンプトを学ぶ

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