「全員が必死に働いているのに、なぜか納期は遅れ、利益も出ない…」
「部分的な業務改善をしても、結局全体の成果に繋がらない…」
「問題が次から次へと発生し、常にもぐら叩き状態だ…」
もし、あなたの職場がこのような「頑張っているのに報われない」状態にあるなら、その原因は“見るべき場所”を間違えているからかもしれません。
今回ご紹介する『THE GOAL(ザ・ゴール)』は、全世界で1000万人以上が読んだ不朽のベストセラー。閉鎖寸前の工場を再生させるというスリリングな物語を通じて、組織全体の生産性を劇的に向上させるための普遍的な原理原則を教えてくれます。
この記事では、本書の核心である「TOC(制約理論)」のエッセンスを、あなたのチームでも明日から応用できるよう、分かりやすく解説します。
物語のあらすじ:崖っぷち工場長アレックスの90日間
物語の主人公は、大手企業の工場長アレックス・ロゴ。彼の工場は、深刻な赤字と納期遅延に苦しみ、本社から「3ヶ月以内に黒字化できなければ工場閉鎖」という最後通告を突きつけられます。
途方に暮れるアレックスは、学生時代の恩師である物理学者ジョナと偶然再会。ジョナは、次々と謎めいた質問を投げかけ、アレックスに問題の本質を自ら考えさせます。
「君の工場の“ゴール”は何だ?」
「部分的な効率を上げることが、全体の生産性を下げているとしたら?」
ジョナの導きによって、アレックスは工場の問題の根本原因「ボトルネック」の存在に気づき、仲間たちと共に工場の改革に乗り出していくのです。
あなたのチームを縛る「ボトルネック」とは何か?
本書の核心は、「組織全体の成果は、たった一つの工程の能力によって決まる」という考え方です。この全体の足を引っ張っている最も弱い部分こそが「ボトルネック(制約条件)」です。
ハイキングの例で考えてみよう 10人のチームでハイキングをしているとします。隊列の進むスピードは、誰によって決まるでしょうか?
それは、一番体力のない、歩くのが遅い人ですよね。
体力のある人がいくら速く歩いても、結局はその一番遅い人を待つことになり、隊列は分断され、全体のスピードは上がりません。この一番遅い人こそが「ボトルネック」です。
あなたのチームでも同じことが起きていませんか? ある特定の部署、特定の機械、あるいは特定の個人の処理能力が、チーム全体の成果の「上限」を決めてしまっているのです。
そして、多くのマネージャーが犯す間違いは、このボトルネック以外の部分(非ボトルネック)の効率を上げようと努力してしまうことです。
ハイキングの例で言えば、足の速い人に「もっと速く歩け!」と檄を飛ばすようなもの。それは全体のスピードアップには全く貢献せず、むしろ無駄な疲労と混乱を生むだけなのです。
ゴールを達成するための「5つの集中ステップ」
では、ボトルネックを見つけ出し、問題を解決するにはどうすればよいのでしょうか。本書では、シンプルかつ強力な5つのステップが示されています。
Step 1:ボトルネックを見つける
まず、仕事の流れ全体を俯瞰し、「どこで仕事が滞留しているか?」「どこがいつも忙しそうにしているか?」を探し、ボトルネックを特定します。
Step 2:ボトルネックを徹底的に活用する
ボトルネックの能力を100%引き出すことに集中します。
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具体例:
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ボトルネックとなっている機械が、休憩時間や段取り替えで止まらないようにする。
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ボトルネックとなっている部署には、その部署でしかできない最優先の仕事だけをさせる。
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Step 3:ボトルネック以外を、ボトルネックに従わせる
ボトルネック以外の全ての工程は、ボトルネックのペースに合わせて動くようにします。
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具体例:
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ボトルネックの前工程は、ボトルネックが処理できる量以上の部品を作らない(作りすぎは無駄な在庫になるだけ)。
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ハイキングの隊列の順番を入れ替え、一番遅い人を先頭にして、全員がその人のペースで歩くようにする。
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Step 4:ボトルネックの能力を向上させる
ここまでのステップでまだ能力が足りない場合、初めてボトルネック自体への投資(能力向上)を検討します。
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具体例:
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ボトルネックとなっている機械を、より性能の高いものに買い換える。
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その部署の人員を増やす、または研修でスキルアップさせる。
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Step 5:ステップ1に戻り、惰性に注意する
一つのボトルネックが解消されると、必ず別のどこかが新たなボトルネックになります。そこで思考を止めず、継続的に改善のサイクルを回し続けることが重要です。
どんな人におすすめ?
『THE GOAL』は、製造業だけの本ではありません。
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チームの生産性が上がらず、悩んでいる全てのマネージャー
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常に納期に追われているプロジェクトリーダー
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飲食店の店長(ボトルネックはレジ?キッチン?それとも席数?)
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ソフトウェア開発のリーダー(ボトルネックは仕様決定?実装?それともテスト?)
このように、何らかの「プロセス」に関わる全ての人にとって、問題解決の強力な思考ツールを与えてくれます。
まとめ
『THE GOAL』が教えてくれるのは、「忙しく働くこと」と「ゴールに近づくこと」は全く違う、という厳しい現実です。
例えば私の場合、以前働いていた会社で売上のエースとなるAさんがいました。彼は数字は抜群に良いものの、会社や同僚の悪口や秘密を顧客に伝え、他を落として自分を上げることで大きな売り上げを作っていました。
彼は会社や組織全体の足かせとなり、会社の評判は下がり、同僚は辞めてしまうことで売上以上のマイナスが付きまといました。
彼と面談を行い、彼は素直に認め、会社の一人一人に頭を下げていき、これまでのやり方が通用しなくなったので売り上げは落ちたものの、結果として全体でのモチベーションやイメージアップに繋がり、会社が大きくなることになりました。
あなたのチームの成果を本当に高めたいのなら、全員に「もっと頑張れ」と言うのをやめ、たった一つの「ボトルネック」を見つけ出し、そこに全ての力を集中させるべきです。
物語形式で一気に読めてしまう本書は、あなたの仕事に対する見方を根底から変える一冊になるかもしれません。
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