「この会社、利益は出ているみたいだけど、それって本当に『本業』で稼いだ利益なの?」
「一時的な利益で数字が良く見えているだけで、本当の実力はどうなんだろう?」
もしあなたが、そんな疑問を感じたことがあるのなら、この記事で紹介する「売上高営業利益率」という指標が、その会社の「本業で稼ぐ本当の実力」を、驚くほどクリアに示してくれるでしょう。
売上高営業利益率は、企業の収益性を分析する上で、ROEと並んで極めて重要視される指標の一つです。
この指標は、最終的に会社に残った利益の大きさを示すものではありません。
それは、「会社が、その主力事業(本業)において、どれだけ効率よく、そして力強く利益を生み出しているか?」という、企業の競争力の源泉そのものを映し出す、非常に信頼性の高い「実力診断ツール」なのです。
この記事では、売上高営業利益率の核心的な意味と使い方を、客観的な視点から要約して解説します。また下記記事はROEを知る前に財務諸表の全体像が超分かりやすく書いてますので是非チェックしてみましょう。
純利益が「最終的な手取り」なら、営業利益率は「本業の給料」の割合である
まず、この指標が何を明らかにしようとしているのか、その本質的なイメージを掴みましょう。
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経常利益や純利益:副業の収入や、たまたま当たった宝くじ(特別利益)なども含めた、年間の「最終的な手取り」の総額。大きいことは良いことだが、その中身が安定しているかは分からない。
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売上高営業利益率:給与明細で言うところの、各種手当やボーナスを除いた「基本給」が、総支給額に対してどれくらいの割合を占めるかを示す指標。この比率が高いほど、安定した本業でしっかりと稼いでいることを意味する。
売上高営業利益率は、この「本業の稼ぎ」の割合を正しく評価し、一時的な要因に惑わされず、企業の持続的な収益力を見抜くための技術なのです。
「本業の儲ける力」を測るための「3つのステップ」
では、この「本業力」を、プロはどのように分析するのでしょうか?3つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:「営業利益」の正体を知る
売上から、本業にかかったコストだけを引いた利益
解説:売上高営業利益率を理解するには、まず「営業利益」が何かを知る必要があります。営業利益とは、その会社のメイン事業、つまり「本業」から得られた利益のことです。
具体的なイメージ(レストランの例):
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売上高:お客様が支払った食事代の合計。
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売上原価:食材の仕入れ代など。
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販管費:スタッフの給料、お店の家賃、広告費など。
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営業利益:
売上高 - 売上原価 - 販管費
この営業利益には、銀行預金の利息(営業外収益)や、お店の土地を売った利益(特別利益)などは一切含まれません。純粋に「レストランの経営」という本業だけで、どれだけ儲かったかを示す数字です。
ポイント:売上高営業利益率とは、営業利益 ÷ 売上高 で計算され、「売上に対して、本業の利益が何%残ったか」を示します。
ステップ2:利益率の「高さ」が示す意味を知る
高い利益率は、強力な「競争優位性」の証
解説:売上高営業利益率が高いということは、その会社が提供する商品やサービスに、他社にはない強力な魅力があることを意味します。
具体的な目安:
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15%以上:極めて優れている。強力なブランド力や独自技術を持つ可能性が高い。
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10%以上:優良企業の目安。
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5%前後:日本の製造業の平均的な水準。
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5%未満:競争が激しいか、収益性に課題がある可能性。
なぜ利益率が高くなるのか?
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高く売れる:強力なブランド力や独自技術により、他社より高い価格でも商品が売れる。
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安く作れる:優れた生産システムや圧倒的な規模により、他社より低いコストで商品を作れる。
ポイント:この利益率が高い会社は、価格競争に巻き込まれにくい「堀」を持っていると言え、長期的に安定した収益を期待できます。
ステップ3:「純利益」との違いに注目する
「利益の質」を見抜くための、最も重要な比較
解説:最終的な利益である「純利益」だけを見ていると、会社の本当の実力を見誤ることがあります。営業利益率と比べることで、その「利益の質」が明らかになります。
比較のケーススタディ:
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ケースA:営業利益率は高いが、純利益は低い。
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⇒ 本業は絶好調だが、借金の利息負担が重い、あるいは一時的な大きな損失があった可能性。本業の強さは本物かもしれない。
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ケースB:営業利益率は低いが、純利益は非常に高い。
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⇒ 要注意。本業は儲かっていないが、保有している土地や株式の売却といった「一発屋」的な利益で、かさ上げされている可能性が高い。持続性はないかもしれない。
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ポイント:常に営業利益率とセットで見ることで、その会社の利益が、持続可能な本業から生まれているのか、それとも一時的な要因によるものなのかを、冷静に判断することができます。
【最重要】注意点:利益率だけでは、会社の全ては分からない
売上高営業利益率は非常に重要ですが、万能の指標ではありません。
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成長性を示しているわけではない:利益率が高くても、市場が成熟しきっていて、今後の売上成長が期待できない「安定企業」である可能性もあります。
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業界によって水準が全く違う:ITや製薬のように高い利益率が出やすい業界もあれば、スーパーや小売のように薄利多売で利益率が低いのが当たり前の業界もあります。必ず同業他社と比較することが鉄則です。
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一時的な要因も考慮する:大規模なリストラや先行投資の時期は、一時的に利益率が落ち込むことがあります。過去からの推移を見て、その変化の背景を考えることが重要です。
まとめ:営業利益率は、企業の「持続可能な強さ」の証明である
売上高営業利益率が私たちに教えてくれるのは、その会社が持つ、ごまかしのきかない「本業での稼ぐ力」です。
それは、企業のブランド力、技術力、コスト競争力といった、持続的な強さの源泉を映し出す鏡なのです。この指標を正しく読み解くことで、あなたの投資は、一時的な人気や話題に流されない、企業の「本質」に基づいた、より堅実なものになるでしょう。

