「毎日残業しているのに、なぜか成果が出ない…」
「上司に報告したら、『で、結局何が言いたいの?』と一蹴された」
「膨大なデータ分析をしたのに、意味のある結論が見つからなかった」
もしあなたが、このような「頑張っているのに報われない」という悩みを抱えているなら、その原因は仕事の「はじめ方」にあるのかもしれません。
この記事では、多くのトップコンサルタントに読み継がれる名著『イシューからはじめよ』(安宅和人 著)のエッセンスを凝縮。
あなたの仕事の生産性を劇的に向上させる「イシュー思考」について、明日から実践できる形で解説します。
あなたの仕事は「犬の道」になっていないか?
本書は、多くのビジネスパーソンが陥りがちな働き方を「犬の道」と表現し、警鐘を鳴らします。これは、労働時間や努力といった「頑張り」で仕事を評価しようとする罠のことです。
著者は、知的生産の価値は、以下の2つの軸で決まると断言します。
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イシュー度: その問題に答えを出す必要性の高さ
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解の質: その答えの的確さ、分かりやすさ
価値がある仕事は、右上の「イシュー度も解の質も高い」領域にしか存在しません。いくら「解の質」が高くても(=100点の答えを出しても)、「イシュー度」の低い問題(=どうでもいい問題)に取り組んでいては、価値はゼロなのです。
「犬の道」とは、この「イシュー度」を無視して、がむしゃらに作業をこなしてしまう働き方のこと。本書が提唱する「イシューからはじめる」とは、まず右上の領域に行くべく「本当に解くべき問題(イシュー)は何か?」を見極めることから仕事を始める思考法なのです。
「イシューからはじめる」ための4つのステップ
では、具体的にどうすればよいのでしょうか。本書で示されている、バリューの高い仕事を生み出すための思考プロセスを4つのステップでご紹介します。
STEP 1:イシューを見極める ―「悩む」な「考えろ」
仕事の出発点は、タスクをこなすことではありません。まず「本当に答えを出すべき問いは何か」を見極めます。
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ダメな例: 「我が社のA事業の売上をどう伸ばすか?」
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→ 漠然としていて、どこから手をつければいいか分からない。「悩んで」しまう。
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良いイシューの例: 「我が社のA事業は、ターゲットを〇〇から△△へシフトすべきか?」
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→ 白黒つけられる問い。具体的な分析や議論に繋がり、「考え」られる。
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ポイント: 誰かに指示されたタスクを鵜呑みにせず、「本当に解決すべき課題(イシュー)はこれだろうか?」と自問する癖をつけましょう。
STEP 2:仮説を立てる ―「答え」から逆算する
イシューを特定したら、いきなり分析を始めるのはNGです。まず、そのイシューに対する「仮の答え」を立てます。 これが仮説です。
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イシュー: 「我が社のA事業は、ターゲットを〇〇から△△へシフトすべきか?」
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仮説の例: 「シフトすべきだ。なぜなら、市場の成長性と顧客単価において、△△が〇〇を圧倒的に上回るからだ」
なぜ仮説が必要なのか? それは、証明すべきゴールが明確になることで、必要な分析や情報が限定され、無駄な作業を一切しなくて済むからです。答えから逆算して、最短ルートでゴールを目指すイメージです。
STEP 3:ストーリーラインを組む ― 感動するプレゼンの脚本作り
仮説を証明するために、どのような順番で、何を伝えれば相手が納得するか?その論理的な構造(脚本)を組み立てます。
例えば、以下のような流れです。
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【課題の確認】 解決すべき問題(イシュー)は何か?
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【解決策の提示】 その問題に対する、私たちの仮説(結論)は何か?
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【具体的な根拠】 なぜその結論に至ったのか?(根拠1, 2, 3…)
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【結論】 だから、このアクションをすべきだ
このストーリーラインを最初に作ることで、チーム内での目線が揃い、手分けして分析を進めても一貫性のあるアウトプットが生まれます。
STEP 4:分析と検証を行う ― 「絵コンテ」で必要な作業を絞り込む
ストーリーラインに沿って、それを証明するために必要なグラフや図表のイメージ(絵コンテ)を具体的に描きます。
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「この主張を裏付けるには、X軸に時間、Y軸に市場規模を取った棒グラフが必要だ」
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「競合との違いを示すには、3つの評価軸で比較したマトリックス図が分かりやすい」
ここまで準備して初めて、実際のデータ分析や情報収集に着手します。
絵コンテで描いたグラフを埋めるためだけの、必要最小限の分析を行えばよいのです。これにより、膨大な時間を浪費する「とりあえず分析」を防ぐことができます。
まとめ:仕事の価値は、はじめる前に9割決まっている
『イシューからはじめよ』のメッセージは極めてシンプルです。
「解の質」を高めるために時間を費やすな。 「イシュー度」の高い問題を見極めることに、全神経を集中させよ。
仕事の価値は、PCに向かって分析を始める前、つまり「どの問題に」「どのような切り口で」「どのような筋道で」答えを出すかを考える「準備段階」で、そのほとんどが決まっています。
もしあなたが日々の業務に追われ、本来の価値を発揮できていないと感じるなら、まずは目の前のタスクに飛びつくのを一度やめて「本当に解くべき問題(イシュー)は何か?」と自問することから始めてみませんか?
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