「お金持ち養成大学」へようこそ。
これまでの講義で、私たちは【PER】(市場の期待度)、【PBR】(資産の割安度)、【ROE】(稼ぐ効率)、【営業利益】(本業の強さ)など、企業を分析するための様々な“武器”を学んできました。
しかしもし、それら全ての努力の「最終的な結果」であり、株価を長期的に動かす、たった一つの【究極の数字】が存在するとしたら、何だと思いますか? それが、【EPS】(一株当たり利益)であり、さらに重要なのは、その【成長率】です。
この記事は、なぜ株価が上がるのか、その“たった一つの答え”を学ぶ、ミクロ分析シリーズの核心となる講義です。
第1章:【EPS】とは何か?(1分間でおさらい)
まずEPSの定義をおさらいしましょう。
【EPS】(Earnings Per Share)とは、以下の計算式で求められます。
EPS = 当期純利益 ÷ 発行済株式数
これは平たく言えば、『その会社の株式“1株”が、1年間でどれだけの利益(あなたの取り分)を生み出したか』を直接的に示す数値です。
もし【ROE】が「経営の効率性」を示す“通知表”だとしたら、【EPS】は、あなたが株主として、その会社から受け取ることができる“取り分そのもの”を示す、最も重要な数字なのです。
第2章:なぜ【EPSの“成長率”】が全てを決めるのか?
ではなぜこのEPSが、株価の原動力なのでしょうか?
株価が(短期的ではなく)長期的に上昇する理由は、ただ一つ。 『将来、その株が稼ぎ出すEPSが増える(=成長する)と、市場が期待するから』です。
投資の世界には、有名な公式があります。 株価 = EPS(実力) × PER(期待)
この公式が示すのは、株価を上げる要素は「EPS(1株当たりの利益)」と「PER(市場の期待度)」の2つしかない、という厳然たる事実です。
そして前回の講義で学んだように、市場の期待(PER)の“源泉”となっているのが、結局のところ、その会社の「EPSがどれだけ成長するか」なのです。
EPSが成長し続けない限り、株価の成長はあり得ない。
逆にEPSが力強く成長し続ける限り、株価は(短期的にはどれだけ暴落しようとも)長期的には、その成長に追いつかざるを得ないのです。
第3章:EPSを増やす「2つのエンジン」
では経営者はどうやってEPSを増やすのでしょうか? エンジンは2つしかありません。
-
【エンジン①】本業で「当期純利益」を増やす(王道)
これが、最も健全なEPSの成長です。ROEや営業利益率を高め、本業で稼ぐ力を強化した結果、純利益が増えれば、EPSも増えます。 -
【エンジン②】「自社株買い」で発行済株式数を減らす(技術)
こちらが、投資家が熱狂する、もう一つのカラクリです。 会社の利益が変わらなくても、EPSを増やす魔法があります。それが【自社株買い】です。-
例:純利益100億円 ÷ 発行済株式数 1億株 = EPS 100円
この会社が、稼いだ利益で「自社株買い(市場に出回る株を買い戻す)」を行い、発行済株式数が半分の5000万株になったら、どうなるでしょう?
-
純利益100億円 ÷ 発行済株式数 5000万株 = EPS 200円
会社の利益は1円も変わっていないのに、分母(株数)が減ったことで、あなたの“1株当たりの取り分(EPS)”は、自動的に2倍になったのです。 これが、Appleや多くの米国企業が、株主還元の最強の手段として「自社株買い」を好む理由です。
-
第4章:学園長が「EPS成長率」だけを信じる理由
この大学の学園長である私も、投資を始めたての頃は、様々な指標に振り回されてきました。低PER、低PBR、高配当利回り…。
しかしそれらの多くが「罠」であったことは、これまでの講義でお伝えした通りです。
それら数々の失敗を経て、私が長期投資において、唯一、羅針盤として信じている指標。 それが、『その会社のEPSが、年率10%以上で、安定的に成長し続けているか』という、ただ一点です。
PERが50倍と、どれだけ割高に見えても、EPSが毎年2倍に成長するなら、株価はあっという間にその割高感を正当化し、さらに上昇していきます。 逆に、PERが10倍とどれだけ割安に見えても、EPSが成長していない(または減少している)株は、永久に「割安(=万年期待されていない)」のまま放置されるのです。
『株価は、長期的には必ずEPSの成長に収束する』 この真実こそが、私の投資哲学の根幹を成しています。
【次のステップへ】 おめでとうございます! これであなたは株価の“究極の原動力(EPS)”を見抜く、賢明なる投資家の視点を手に入れました。
しかし、こう思いませんか? 「この知識を使って、4,000社もある日本株全部を分析するのは、正直、面倒くさい…」
その通りです。だからこそ、私たちは【AI】を使います。 次の講義では、今回学んだ【PER】や【PBR】、【ROE】といった全ての知識をAIに指示(プロンプト)として落とし込み、AIをあなた専属の“超優秀なファンドマネージャー”に変身させる、究極の実践術をご紹介します。
→ 講義【AI株式スクリーニング術】で最強のプロンプトを学ぶ
まとめ:あなたは“利益成長の探求者”たれ
株価とは、日々のノイズ(短期売買)と、長期的なシグナル(EPS成長)の集合体です。 あなたが本当に追いかけるべきは、恐怖や欲望が生み出す日々のノイズではありません。その企業の「1株当たりの利益」が、どれだけ力強く成長しているかという、唯一無二の【シグナル】です。
今日からあなたは、ただの株価ウォッチャーではありません。 企業の“本質的な価値の源泉”を追い求める、“賢明なる利益成長の探求者”なのです。
